成年後見コラム
『成年後見コラム』では、成年後見に関するご相談例、手続きについて、堺市の司法書士吉田事務所での取り扱い事例を元に、ポイントとなる部分をまとめています。
「保佐」⇔「後見」の類型変更
★ポイント
家庭裁判所の手続において、「保佐から後見へ」「後見から保佐へ」といった、類型変更の手続きは用意されておらず、新たな類型で申立てをし、すでになされた審判は職権で取消しされる、という流れになります。
「保佐」の審判を受けたものの、その後、判断能力が衰えられ、「後見」相当になった。
「後見」の審判を受けたものの、実は「保佐」相当の能力をお持ちだった。
ご本人の判断能力は、医師の診断書だけで決められるものではないのと、「後見」「保佐」「補助」3つの枠に当てはめるというのは、実際には現実的ではないことも多いため、そういうことはよくあります。
医師の診断書の内容が曖昧、と感じるのも、よくあることです。
ところが、現在の後見制度では、「類型の変更」「違う類型への移行」という手続きが用意されておらず、「保佐から後見へ」「後見から保佐へ」の変更は、簡単ではありません。
したがって、わざわざ類型変更をしなくても、ご本人の支援が不都合がなければ、そのままにする、という例がほとんどです。
ところが、「後見の審判を受けているため、制約があってできない」という場面があります。
例えば、遺言書を作りたい場合、後見の審判を受けている場合、「医師2名以上の立ち合いが必要」という要件が出てきます。
また、親族の後見を申し立てる際、「後見の審判を受けているから申立人になれない(別冊判例タイムズNO.36のP21)」という事例もありました。
「後見」の審判を受けた人が、「保佐」に移行させる場合、下記の流れで進みます。
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1.後見人から保佐開始の申立をする
→この時に添付する書類は、新規に後見を申立てする時と同様のもの。
→「登記されていない証明書」として、任意後見契約の本人とする記録がない、ものの提出を求められた。
2.裁判所からの指示で、裁判所所定の診断書以外で、本人の健康状態が分かる書類を提出。
→自立支援医療の診断書や訪問看護の記録など。
3.裁判所で調査官の面接
4.保佐開始の審判と同時に、職権で、後見開始の審判を取り消す審判
5.審判確定
6.裁判所に、後見終了の報告書と、後見人としての報酬付与の審判を求める
7.報酬付与の審判を待って、後見人から保佐人に、書類の引継ぎ
8.保佐人としての就任報告
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申立から審判確定まで、3か月程かかりました。
通常より時間を要しました。
所定の診断書だけでなく、診断書以外に、「ご本人の健康状態が分かる資料」の提出を求められています。
審判確定後、金融機関等へも、後見人から保佐人になった旨の届出を行うことになります。
「後見から保佐へ」というのは、認知症であればなかなか考えにくいことですが、この時は、実際に、健康状態が良くなられたのと、なおかつ、必要性があった、ということで、手間をかけて手続きを進めています。
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・法定後見申立前の相談。法定後見申立書類作成・提出。裁判所への同行。
・親族後見人の継続的サポート。
・任意後見契約前の相談。任意後見契約公正証書の作成サポート。
・財産管理等委任契約、見守り契約、死後事務委任契約、遺言書作成サポート。
・成年後見人(後見・保佐・補助)、遺言執行者への就任
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